カビは糸状構造を持つ糸状菌の一群であり、真菌類に属しています。
この真菌類にはカビが属している糸状菌の他、酵母菌(コウボ)と担子菌(キノコ)の3つの仲間が含まれています。
カビは高温多湿な環境でよく育つため、日本のように温暖で湿気も多い環境はカビの発育と活動には良い条件となっています。
カビは菌糸を持ち、その菌糸が網目状あるいは繊維状に発育し、様々な色調の集落(コロニー)を形成します。餅・パン・みかんなどの食物や、お風呂場をはじめとする水周りに見られるものは、すでに発育したコロニーの状態です。
パンに付着したカビ
石膏ボードの紙に付着したカビ
カビは他の生物が不要になった有機物(炭水化物やタンパク質など)や動植物の遺骸を無機物に分解除去し、環境を掃除する役割も担っているため、生態系の維持には欠かすことができない生物です。しかし、一般住宅の中では食品や家、衣服など様々なものに発生し、分解・劣化させます。
一方で、日本人はカビを生活に役立てるよう工夫し、味噌、醤油、鰹節、焼酎等を作り上げる発酵という技術を進展させてきました。
最近の住宅は、快適な住環境を保つために適温性が重視されており、それを維持するために気密性・断熱性も高く、間仕切りが多い構造となっています。その結果、通気が悪くなり、湿度も高く、結露が生じやすい環境となり、かえってカビが発育しやすい環境となってしまっています。
なお、ダニの中にはカビを餌として発育する種類もあるため、住居の中でカビが増えるとダニが増える可能性も高くなります。
カビの発生は環境と時間の条件が整えば、広範囲に広がっていくため、出来る限り被害の小さい時点で発見し、被害の拡大を抑える対策を考える必要があります。
参考文献
阿部恵子「建物のカビを考える」(『設備と管理』2005年6月号)
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